おはぎ
2008年 12月 03日
今日のおやつに、おはぎ。
これを出したときに、「ぼた餅」とどう違うの?って聞かれ、「ぼた餅は、牡丹の花が咲く、春のお彼岸のころに食べるから。おはぎは、萩の季節、秋のお彼岸に食べるから。同じものだけど、食べる時期によって違うんだよ。」って言ったら、「知らないと思って適当なこと教えてない?」って言われちゃいました。(汗)
本当です!
実は、夏と冬にも別名があるらしいのです。
おはぎ(名前がたくさんあって呼びにくいので、一般的にはおはぎと呼ぶことにします。)は、お餅と違い、餅つきをしません。
杵でつかないので、「ペッタン、ペンタン!」と音がしないのです。
具体的には、もち米とお米を混ぜて炊き、すりこぎで半つぶしにするのですが、ペッタンペッタン音がしないので、お隣さんなどからすると、いつついたのか分からない。
そういうところから、
夏は、夜船
夜は船がいつ着いたのか分からないことから、搗(つ)き知らず → 着き知らず、となり「夜船」となったようです。
冬は、北窓
北窓は「つき(月)入らず」=「つき(搗)入らず」にかけて、月の見えないのは、北の窓なことから「北窓」となったようです。
昔の人は、おはぎ1つをとっても4つの名前をつけるほど、自然や季節との結びついて、遊び心もありながら風情もあったんだと感心させられます。
忘れてはいけない日本の心を思い出させてくれるようです。
夏と冬の別名はさすがに知りませんでした。
それよりもおもしろいのは、おはぎを「半殺し」と呼ぶこと。
むかし、むかしの江戸時代。
国許へ帰る途中、現在の山奥県の某山中で日が暮れてしまい、山奥の一軒家で一夜の宿を取ることになった、某藩のお侍さんのお話です。
家の主は、親切そうな老夫婦です。
何もありませんが、と恐縮しつつ、粗末ながらも心のこもった夕食や床を、お侍さんに提供してくれました。
さて、老夫婦に感謝しながら、早めの床についたお侍さんでしたが・・・。
深夜、隣室から「ぼそぼそ」と聞こえてくる老夫婦の会話に、ふと目をさましました。
「・・・手討ちにしようか・・・いや、半殺しにしようか・・・」
炉辺の老夫婦が、真剣な表情で、物騒な会話を交わしています。
「さてはここは山賊の根城だったのか!?」
驚いたお侍さんは、慌てて刀を手繰り寄せると、そのまま、まんじりともせず一夜を過ごしました。
そして、次の日の朝・・・。
老夫婦の自分を呼ぶ声に、用心しぃしぃ、炉辺へと出て行ったお侍さん。
そのお侍さんの前に、老夫婦はにこにこしながら、朝餉(あさげ)の膳を運びました。
「お口に合うかどうかわかりませんが、婆さんの作った半殺しでございます」
半殺し、という言葉に目を剥いたお侍さん。
しかし、お膳の上に乗っているのは、どう見ても、もち米を餡子で包んだ見慣れた「ぼたもち」です。
「ひょっとして、半殺し、というのは・・・ぼたもちのことか?」
「はい、この辺りのぼたもちは、もち米を半分しかつぶさないので、半殺し、といいます。江戸のように、もち米をほぼつぶしてしまうのは、皆殺し、といいます」
「で、では、手討ち、というのは、何のことじゃ?」
「ああ、それは、うどんのことですわ。手打ちうどん、といいますでしょう?」
おじいさんの言葉に、お侍さんはようやく、自分の「早とちり」を悟った、というお話。
この話を聞いたのは、結婚前だったんだけど、おもしろいよね~。
by chinacafe-0219
| 2008-12-03 22:19
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